シュリーマド・バーガヴァタム 1.14.42
節
kaccit tvaṁ nāgamo ’gamyāṁ
gamyāṁ vāsat-kṛtāṁ striyam
parājito vātha bhavān
nottamair nāsamaiḥ pathi
gamyāṁ vāsat-kṛtāṁ striyam
parājito vātha bhavān
nottamair nāsamaiḥ pathi
訳語
kaccit—~かどうか; tvam—あなた自身; na—ではない; agamaḥ—触れた; agamyām—弾劾すべき; gamyām—ふさわしい; vā—どちらか; asat-kṛtām—不適切に扱った; striyam—ある女性; parājitaḥ—に負けて; vā—どちらか; atha—結局; bhavān—あなた自身; na—もまた〜ない; uttamaiḥ—優位な力によって; na—ではない; asamaiḥ—等しい者によって; pathi—道で.
翻訳
非難されてしかるべき女性とでも交わったのか、あるいはふさわしい女性を適切にもてなさなかったのか。それとも、君よりも弱い者か同じ力を持つ者に破れたのか。
解説
この節からは、パーンダヴァ兄弟がいた当時は、男性と女性の自由な交わりは、ある一定の条件下だけで許されていたことがわかります。優れた家系、つまりブラーフマナとクシャトリヤの男性は、ヴァイシャあるいはシュードラ階級の女性を妻として迎えることができますが、身分が劣る男性は高い身分の女性と交わることはできませんでした。クシャトリヤの男性でも、ブラーフマナの女性と結ばれることはできません。ブラーフマナの妻は、7人の母(実母、精神指導者あるいは教師の妻、ブラーフマナの妻、国王の妻、牛、乳母、地球)の一人と考えられています。このような男女間の接触をウッタマあるいはアダマと言います。ブラーフマナの男性とクシャトリヤの女性の結びつきはウッタマですが、クシャトリヤの男性とブラーフマナの女性の関係はアダマとされ、非難の対象になります。女性から交際を求められた男性は拒否すべきではありませんが、同時に、上記のような状況も考慮しなくてはなりません。ビーマは、ヒディンビーというシュードラ以下の女性から求愛され、またヤヤーティは、シュクラーチャーリャがブラーフマナだったために、その娘との結婚を断りました。またブラーフマナだったヴィヤーサデーヴァは、パーンドゥとドリタラーシュトラをもうけるために結婚を要請されました。サッティヤヴァティーは漁師の家の娘でしたが、偉大なブラーフマナであるパラーシャラはサッティヤヴァティーとの間にヴィヤーサデーヴァをもうけています。このように、女性との交わりについては多くの例が残されていますが、いずれの場合でもそれが忌まわしいものとなったり、その接触の結果が悪いものになったりしたわけではありません。男性と女性の交わりは自然なことですが、それは規定原則に基づいてなされるべきであり、そうすれば、社会が乱されることなく神聖な秩序を保ち、不必要で無価値な子孫が作られて世界が不安定になるのを避けることができます。
クシャトリヤが、力関係で劣った相手、または等しい相手に負けるのは不名誉なことです。負けるとすれば、自分よりも優れた力量を持つ相手でなくてはなりません。アルジュナはビーシュマデーヴァに負けそうになったのですが、主クリシュナは、その窮地からアルジュナを救いました。しかし、そのことがアルジュナの名誉を傷つけたわけではありません。ビーシュマデーヴァは、年齢、尊さ、力など、あらゆる面でアルジュナよりも優れていた人物でした。一方カルナはアルジュナと互角の力を持っていたため、アルジュナはカルナとの戦いで窮地に陥りました。アルジュナは危機的状況に置かれ、そのために、カルナは不正な手段を使ってでも殺されなくてはなりませんでした。それはクシャトリヤの間でよく行なわれることで、だからこそマハーラージャ・ユディシュティラは弟に、ドヴァーラカーから故郷に戻って来るとき、何か望ましくないことが起こったのではないか、と尋ねているのです。