シュリーマド・バーガヴァタム 1.11.16-17
節
niśamya preṣṭham āyāntaṁ
vasudevo mahā-manāḥ
akrūraś cograsenaś ca
rāmaś cādbhuta-vikramaḥ
vasudevo mahā-manāḥ
akrūraś cograsenaś ca
rāmaś cādbhuta-vikramaḥ
pradyumnaś cārudeṣṇaś ca
sāmbo jāmbavatī-sutaḥ
praharṣa-vegocchaśita-
śayanāsana-bhojanāḥ
sāmbo jāmbavatī-sutaḥ
praharṣa-vegocchaśita-
śayanāsana-bhojanāḥ
訳語
niśamya — 聞くことだけで; preṣṭham — 最も愛しい方; āyāntam — 帰ってくること; vasudevaḥ — ヴァスデーヴァ(クリシュナの父); mahā-manāḥ — 寛大な人物; akrūraḥ — アクルーラ; ca — そして; ugrasenaḥ — ウグラセーナ; ca — そして; rāmaḥ — バララーマ(クリシュナの兄); ca — そして; adbhuta — 超人間; vikramaḥ — 力; pradyumnaḥ — プラデュムナ; cārudeṣṇaḥ — チャールデーシュナ; ca — そして; sāmbaḥ — サーンバ; jāmbavatī-sutaḥ — ジャーンバヴァティーの息子; praharṣa — この上ない幸福; vega — 力; ucchaśita — ~に影響されて; śayana — 横たわること; āsana — 座ること; bhojanāḥ — 食事をすること。
翻訳
誰よりも愛しいクリシュナがドヴァーラカー・ダーマに近づいていることを聞き、寛大なヴァスデーヴァ、アクルーラ、ウグラセーナ、バララーマ(超人的な力を持つ方)、プラデュムナ、チャールデーシュナ、ジャーンバヴァティーの息子、サーンバなど、誰もが大きな幸せを感じて、休息することもくつろぐごとも、そして食べることも中断した。
解説
ヴァスデーヴァ シューラセーナ王の息子であり、デーヴァキーの夫である主シュリー・クリシュナの父は、クンティーの兄、そしてスバドラーの父です。スバドラーはいとこのアルジュナと結婚しています。この慣習はインドの一部の地域でまだ残っています。ヴァスデーヴァはウグラセーナ王に任命された大臣で、後にウグラセーナの兄弟デーヴァカの8人の娘たちと結婚しました。デーヴァキーはそのなかのひとりです。カンサはヴァスデーヴァの義理の兄弟にあたりますが、投獄生活を自ら引き受け、デーヴァキーの8番目の子をカンサに引き渡すことで互いに同意しました。しかしこれは、クリシュナの意思によって、計画通りにはいきませんでした。また、パーンダヴァ兄弟の母方の叔父だったことから、パーンダヴァ兄弟の浄化儀式に積極的に参加しています。僧侶カッシャパをシャタシュリンガ・パルヴァタに呼び、その儀式を執行しました。主クリシュナはカンサの牢獄の中に現れましたが、ヴァスデーヴァの手で、ゴークラに住むクリシュナの育ての親となるナンダ・マハーラージャの家に移されました。クリシュナはバララーマと共に、ヴァスデーヴァが他界する前にこの世界から去って行きましたが、アルジュナ(ヴァスデーヴァのおい)が、ヴァスデーヴァの他界後にその葬式を執行しています。
アクルーラ ヴリシュニ王家の最高指揮官で、主クリシュナの偉大な献身者です。アクルーラは、祈りを捧げるというたったひとつの献身奉仕の方法を通して成功の境地に達しました。彼はアフーカの娘のスータニーの夫でした。アルジュナがクリシュナの意志に従ってスバドラーを奪う時に、彼はアルジュナを支持しました。クリシュナとアクルーラは、アルジュナがスバドラーを無事に連れ去った時、アルジュナに会いに行っています。またふたりは、この出来事の後にアルジュナに贈り物をしました。アクルーラは、スバドラーの息子であるアビマニユ とウッタラー(マハーラージャ・パリークシットの母)の結婚式にも出席しました。アクルーラは、義理の父であるアフーカとは折り合いが悪かったのですが、ふたりとも主の献身者でした。
ウグラセーナ ヴリシュヌ王家の強大な王のひとりで、マハーラージャ・クンティボージャのいとこにあたります。別名をアフーカといいます。ウグラセーナに仕える大臣がヴァスデーヴァで、ウグラセーナの息子が強大なカンサです。このカンサが自身の父親を投獄し、マトゥラーの王座に就きました。主クリシュナと兄の主バラデーヴァの恩恵でカンサは殺され、ウグラセーナは再び王座に就くことができました。シャールヴァがドヴァーラカーを攻撃した時に勇敢に戦い、敵を撃退しました。また主クリシュナの神性についてナーラダジーに問いかけています。ヤドゥ王家が滅亡する運命にあった時、ウグラセーナはサーンバの体内から作られた鉄の塊の処理を任されました。その塊を砕いて細かくし、糊状にし、ドヴァーラカーの海岸の水と混ぜ合わせました。この後、ドヴァーラカーの都と王国で完全に飲酒を禁じました。彼は死後、解脱の境地に達しています。
バラデーヴァ ヴァスデーヴァとローヒニーの間に誕生した神聖な息子です。ローヒニーの愛する子、すなわちローヒニー・ナンダナという名前でも知られています。ヴァスデーヴァがカンサとの約束どおり投獄された時、バラデーヴァは母親ローヒニーと共にナンダ・マハーラージャのもとに預けられました。つまりナンダ・マハーラージャは、主クリシュナと同様に、バラデーヴァの育ての父親でもありました。主クリシュナと主バラデーヴァは異母兄弟ではありましたが、幼いころからいつも一緒に暮らしてきました。主バラデーヴァは至高人格神の完全分身であるため、主クリシュナに引けを取らないほどの特質と力を備えています。ヴィシュヌ・タットヴァ(神の範囲)に属します。ドラウパディーのスヴァヤンヴァラ儀式にシュリー・クリシュナと一緒に参加しました。シュリー・クリシュナの綿密な計画のもとでスバドラーがアルジュナに連れ去られた時、バラデーヴァはアルジュナに怒り、すぐに殺そうとしました。シュリー・クリシュナは親友のために、主バラデーヴァの足元にひれ伏し、怒りを抑えるようにとなだめました。こうしてシュリー・バラデーヴァは満足しました。またある時、カウラヴァたちに怒り、彼らの住む都市をヤムナー川の底深く沈めようとしました。カウラヴァたちは、主バラデーヴァの蓮華の御足に身を委ねることで、主を満足させました。実は主クリシュナの誕生の前の第7番目の子ですが、主の意志で、カンサの怒りから逃れるためにローヒニーの胎内に移されたのでした。そのため、シュリー・バラデーヴァの完全分身であるサンカルシャナという別名も持っています。主クリシュナと同じ力を持ち、献身者に精神的力を授けられることからバラデーヴァとして知られています。ヴェーダのなかでも、バラデーヴァの恩恵を授からなければ至高主を知ることはできない、と説かれています。バラは精神的な力のことであり、肉体の力を指しているのではありません。知識の乏しい人はバラを肉体の力と勘違いしています。しかし肉体の力で精神的な悟りは得られません。肉体の力は、体の終わりとともになくなりますが、精神的力は精神魂と共に次の生にまで受け継がれるため、バラデーヴァから授かった力は決して無駄にはなりません。その力は永遠であるため、バラデーヴァは全ての献身者にとって根源の精神指導者とされています。
シュリー・バラデーヴァは、サーンディーパニ・ムニの学校で、主シュリー・クリシュナの学友として共に学びました。子供の頃、シュリー・クリシュナと一緒に多くのアスラを殺しましたが、特にターラヴァナの森でデーヌカースラを殺した話がよく知られています。クルクシェートラの戦いでは中立の立場を貫き通し、戦争にならないよう最善を尽くしています。ドゥルヨーダナの味方だったのですが、中立の立場を変えませんでした。ドゥルヨーダナとビーマセーナが戦闘棒で戦った時には、その様子を見ていました。しかし、ビーマがドゥルヨーダナのベルトの下の太ももを攻撃したことから、その邪道な戦いの報復をしようとしました。そこで主シュリー・クリシュナは、バラデーヴァの怒りからビーマを救いました。しかし主バラデーヴァはビーマセーナに幻滅し、すぐにその場所から立ち去り、その直後にドゥルヨーダナは倒れ、絶命しました。アルジュナの息子のアビマニユ の葬式は主バラデーヴァによって執行されました。母方の叔父だったからです。パーンダヴァ兄弟たちは、あまりの悲しみに、誰ひとりとしてその葬式を執行することができませんでした。主バラデーヴァは物質界を去る時、自分の口から白い大蛇を出し、そのシェーシャナーガという蛇によって運ばれて行きました。
プラデュムナ カーマデーヴァの化身、またある見解ではサナット・クマーラの化身で、人格神主シュリー・クリシュナと、ドヴァーラカーの主要な女王ラクシュミーデーヴィー、つまりシュリーマティー・ルクミニーの間に生まれた息子です。アルジュナがスバドラーと結婚した時に祝福しに行ったひとりです。またシャールヴァと戦った大将軍のひとりでしたが、戦闘中に失神します。御者が彼を野営地まで運びましたが、プラデュムナはその行為を叱責しました。しかし結局、シャールヴァと再び戦って勝利を収めました。ナーラダジーからさまざまな神々について話を聞きました。また主シュリー・クリシュナの4人の完全拡張体のひとりで、三番目にあたります。父親であるシュリー・クリシュナにブラーフマナの栄光について尋ねたこともあります。ヤドゥ家の兄弟同士で戦った時、ヴリシュニ家の王のひとりボージャの手で殺害されました。死後、自分本来の立場に戻っていきました。
チャールデーシュナ シュリー・クリシュナとルクミニーデーヴィーのもうひとりの息子です。ドラウパディーのスヴァヤンヴァラ儀式の時に参列しました。兄弟や父親同様、偉大な戦士で、ヴィヴィニダカと戦って、彼を殺しました。
サーンバ ヤドゥ王家の偉大な英雄のひとりで、主シュリー・クリシュナとその妻ジャーンバヴァティーの間に生まれました。矢を射る技術をアルジュナから学び、マハーラージャ・ユディシュティラの統制時代の議員でした。マハーラージャ・ユディシュティラのラージャスーヤ・ヤジュナにも参加しています。ヴリシュニ家の人々がプラバーサ・ヤジュナに参加した時、サーンバの誉れ高い行動はサーティヤキによって、主バラデーヴァの前で語られました。マハーラージャ・ユディシュティラが行ったアシュヴァメーダ・ヤジュナに、父親である主シュリー・クリシュナと共に参加しました。ある時、リシたちの前で、兄弟たちによって妊婦のふりをさせられ、冗談のつもりで、どんな子が生まれるか当ててみるよう聞きました。リシたちは、鉄の塊が生まれてそれがヤドゥ家の兄弟間の争いの原因になる、と予言しました。翌朝、サーンバは鉄の塊を産み落とし、その塊の処理がウグラセーナに任されました。実はその後、予言されていた兄弟間の争いが起こり、サーンバはその争いで命を落としました。
この主クリシュナの息子たちは、それぞれ休息をとったりくつろいでいたり、食事をしていたりしていましたが、高尚な父親を迎えるために、全てを投げ出して、宮殿を飛び出して行きました。