シュリーマド・バーガヴァタム 1.12.29
節
iti rājña upādiśya
viprā jātaka-kovidāḥ
labdhāpacitayaḥ sarve
pratijagmuḥ svakān gṛhān
viprā jātaka-kovidāḥ
labdhāpacitayaḥ sarve
pratijagmuḥ svakān gṛhān
訳語
iti—このように; rājñe—王に; upādiśya—助言して; viprāḥ—ヴェーダに精通した人々; jātaka-kovidāḥ—占星術と誕生の儀式の執行に長けた人々; labdha-apacitayaḥ—報酬として豊富に受け取った人々; sarve—彼ら全て; pratijagmuḥ—戻って行った; svakān—彼ら自身の; gṛhān—家。
翻訳
このように、占星術の知識と誕生の儀式に長けた人々がユディシュティラ王に、その子の将来について教えた。やがて充分な報酬を授かった後、各自の住まいに戻っていった。
解説
ヴェーダは物質と精神、両知識の宝庫です。しかし、この知識は自己を悟るために向けられています。言い換えれば、ヴェーダはあらゆる面で教養ある文化人に用意された案内書です。人間生活は物質的な苦しみから逃れる機会であるため、ヴェーダの知識に従うことで、生きていく上で必要なことについても精神的解放についても正しい助言が得られます。ヴェーダの知識の研究に専心している人々をヴィプラ(ヴェーダ知識の専門家)といいます。ヴェーダには、広範な分野があり、なかでも占星学と病理学は一般人に欠かせない重要な学問です。ですからブラーフマナとして知られる知的な人物は、社会を導くためにさまざまなヴェーダ知識を研究します。博識な人々は軍事学(ダヌル・ヴェーダ)でさえ学び、ドローナーチャーリャやクリパーチャーリャといったヴィプラは、この分野の指導者でした。
この節にあるヴィプラという言葉には重要な意味が込められています。ヴィプラとブラーフマナにはわずかな違いがあります。ヴィプラはカルマ・カーンダ、すなわち果報的活動に関する知識を習熟した人々のことで、大衆が何不自由なく暮らせるように導きますが、ブラーフマナは崇高な精神的知識を知り尽くしている人々を指します。この知識の分野をジュニャーナ・カーンダといい、この上にウパーサナー・カーンダがあります。ウパーサナー・カーンダの極致が主ヴィシュヌへの献身奉仕であり、極致を極めたブラーフマナが、ヴァイシュナヴァと呼ばれるようになります。さまざまな崇拝様式のなかでも、ヴィシュヌの崇拝は最も気高いものとされています。高尚なブラーフマナは、主への崇高な愛情奉仕に励むヴァイシュナヴァであるため、献身奉仕の科学を説く『シュリーマド・バーガヴァタム』は、ヴァイシュナヴァにとって大変重要な書物です。そして『シュリーマド・バーガヴァタム』の始めに述べられているように、この書物はヴェーダ知識の熟した果実であり、カルマ、ジュニャーナ、ウパーサナーという3つのカーンダより優れた主題を扱っています。
カルマ・カーンダの専門家の中には、ジャータカについて詳しいヴィプラたちがおり、彼らは誕生した時間(ラグナ)の星座を計算するだけで赤ん坊の未来を全て言い当てる優秀な占星術師です。この優れたジャータカ・ヴィプラたちがマハーラージャ・パリークシットの誕生に居合わせ、祖父のマハーラージ・ユディシュティラは彼らに充分な金、土地、村、穀物、また牛などの貴重な生活必需品を与えました。社会にはヴィプラが必要であり、国はヴィプラの快適な暮らしを保証する責任があります。熟達したヴィプラは国から充分な報酬を得るからこそ、無償で一般大衆に仕えることができ、こうして、ヴェーダの知識を誰でも手に入れられる社会環境が作り出されるのです。